初めに困難であったことが、練習や実践を重ねるのにしたがい、しだいに簡単で楽しいものに変わっていくプロセスは何度体験しても楽しいものです。
ただ、その学びの過程でイヤになってやめてしまったり、そもそもやる気が起きなかったりということがないでしょうか?
そんな悩みにたいする解決策を提示してくれているのが、こちらの本です。
KTK(高速大量回転)法の実践家デビっちんです。
今回ご紹介するのは学び・成長についての本です。
こんな人が読むと得るものが多いのかなーと^_^
- 伸び悩んでいる
- 決意がくじけやすい
- エネルギーが湧いてこない
- 学ぶうえでの落とし穴を知りたい
概要部分を読むだけでも、何をしていけばいいかがわかると思います。
【達人のサイエンス】って、こんな本です。
空軍の飛行教官を経て合気道の指導者にもなった、アメリカ教育会で有名なジョージ・レナード氏による、自己成長についての指南本です。
上記の経験をふまえて、伸びる生徒とそうでない生徒のパタ-ンを帰納的に抽出し、さらには以下の共通項を見出し、解説してくれています。
- 物事を習得していくためには共通の姿勢が必要
- 達人の域に達した人の態度には共通のものがある
そうした考えを体系的にまとめているだけでなく、一芸に秀でた達人に対するインタビューなどを通じて、自身の知見を確証している辺りがサイエンスというタイトルの所以なんだと感じました。
ざっと大きな項目を紹介すると、こんな感じです。
達人に到達できない3つの典型的なタイプ
- ダブラー(ミーハー型)
- オブセッシブ(せっかち型)
- ハッカー(のらりくらり型)
達人への5つのキーポイント
- 指導
- 練習と実践
- 自己を明け渡すこと
- 思いの力
- 限界でのプレイ
ホメオスタシスに対処するための五つのポイント
- ホメオスタシスの活動に気づく
- 変化に抵抗しようとする自分との「関係の調整」
- 支援体制を作り上げる
- 規則的に練習する
- 生涯、学び続ける
マスタリーのエネルギーを得る7つの方法
- 肉体の健康を維持する
- マイナス要素を知った上での積極思考
- 努めてありのままを話す
- 素直であれ、ただし自己の暗い部分に振り回されるな
- するべきことの優先順位を決める
- 公言し、そして実行
- マスタリーの道を歩み続ける
マスタリーの道での落とし穴
- 生活上の葛藤
- オブセッシブ(せっかち)の目的指向
- よくない指導
- 競争のない状態
- 過度の競争
- 怠惰
- けが
- 薬物
- 賞やメダル
- 虚栄心
- くそまじめ
- 一貫性がない
- 完全主義
これを見て気になった方は、より詳細な解説や具体例が記載されているので、是非チェックしてみてください!
学びとか成長に興味ある人は、きっと満足できる内容です。
それでは概要はこれくらいにして、感銘を受けた表現を3つだけ紹介していきます!
う~、本当はもっともっと紹介したい。
【達人のサイエンス】感銘を受けた表現
人生の大半はプラトーで過ごすのが当たり前
もしわれわれよき人生、すなわちマスタリー的な人生を送っているのであれば、その大半はプラトーで過ごすことになろう。さもなければ人生の大部分はじっとシテオレい不安なものとなり、ついにはプラトーから逃避するための自己破壊的なあがきに終わってしまうだろう。
プラトーって?
ものすごく簡単に言えば伸び悩みのことだよ。
スポーツで例えると、たくさん練習しているのに成果に結びつかないときです。
この本を読むまでは、プラトーはなるべく避けたいもの、早く終わって欲しいものだと思っていました。
でも上の引用部分を読んで、見方が逆だったことに気づいたんですね。
プラトーでいることが当たり前なんだと。
続けて、こうありました。
目標やコンティンジェンシー(未来への依存性)は、前にも言ったように、たしかに重要なことなのだが、それらは感覚世界の彼方にある未来や過去に存在している。しかし実践、すなわちマスタリーへの道は、過去でも未来でもなくただ現在にのみ存在する。……中略……プラトーを愛するとは、永遠の「今」を愛することであり、必ず訪れる上達のスパートを楽しみ、達成という果実を味わうことであり、さらにその後すぐに訪れる次のプラトーを澄んだ気持ちで受け入れることなのだ。
プラトーが嫌なもの避けたいもの、と感じていたのは、過去の一部分や未来へのあこがればかりを視野に入れているからだったのです。
今を生きているのに、今を見ていなかった。
そして今を見ることこそが、成長へとつながる道なんですねー。
この瞬間に、僕の好きな言葉の意味が強くわかりました。
「成果を求めずたんたんと」
学びの遅さは情報の宝庫
才能がある生徒は早く先に進みすぎて、学習のプロセスの一つひとつの小さなステップがおろそかになり、自分の周囲に不透明な殻のようなものができて武道の奥深い面が見えなくなってしまう傾向がある。逆に覚えの遅い生徒の場合、先生は一つひとつの細かなステップを指導せざるを得ず、それが合気道の本質をエックス線かなにかのように貫いて、身のこなしの中にその技芸そのものが現れてくるまでのプロセスがあばき出されるというのだ。
才能豊かなライバルに対して、劣等生の主人公が逆転する、という漫画で定石の設定は事実だった!
劣等生だからこそ深く学べる
そういうストーリーの方が感動するからだと思っていましたが、実際でもそうだったんですね。
才能があって速く進みすぎると細かなステップが見えなくなってしまう、という見方は停滞期の心を支えてくれます。
でも、実は感銘をうけたところは、そこじゃないんです。
この引用部分が生徒ではなく指導者の項目で記載されていたところが、実に興味深かったんです。
誰かに教えを請うときは、その先生が何ができるかを確認すると同時に、いちばん鈍い生徒にも細かく気を配っているかどうかを確かめるのが吉とのこと。
教師選びにも使えるし、教える側にも有益な内容です。
学ぶのが鈍い人に会ったら学びのチャンス!
ここまでくると速く学べる人がダメみたいな感じがしてきますが、ぼくはこう考えて心の安心を図っています。
- 人より速く学べた(速く教えられた)場合、時間単価的に得した。
-
人より学ぶのが遅い( 学ぶが鈍い人がいた)場合、プロセスを深く学べている。
どっちともとれるように考えておくのが精神安定上、健全です!
自己を明け渡す
同じことを果てしもなく続けたり、単調な作業をやったり、あるいは基本の動作を何回も繰り返し練習することなどがある。
……中略……
現にこうしたことを考えただけで、自己の明け渡しを拒否するための言い訳をし始める人もいるいるようだ。
実際、ほんとうに退屈な状態は、むしろ新しいものをしつこく追求したりする場合にやってくる。そして満ち足りた気分が生じるのは、すでによく知っているテーマを慎重に繰り返し練習し、その微妙な違いの中に無限の意味を発見した時なのである。
学んでいる最中は、速く新しいことをやりたいし学びたいですよね?
その方が成長を感じることができるから。
ぼくもそうでした。
でも、先生が同じことを指示するのは、まだまだ学びがあるよー!と言っているんです。
実際、パソコン操作のショートカットキーを教えるサポートをしている時、自分から次の項目をやり始める人よりも、教師が次の項目を指示するまで愚直に同じことを何度もやっている人の方が伸びていました。
自己を明け渡し、先人の指示に従うのが達人への近道です。
とすれば、教師選びのスキル、信頼関係が大切になってきますね。
おわりに
『達人のサイエンス』は、空軍の飛行教官を経て合気道の指導者にもなった、アメリカ教育会で有名なジョージ・レナード氏による、学びの王道を解説した内容です。
- 物事を習得していくためには共通の姿勢が必要
- 達人の域に達した人の態度には共通のものがある
部下や生徒の指導を通じて帰納的に抽出した共通項を、再度、演繹的に当てはめ検証しているのが興味深いです。
今回は、以下3点を中心に紹介しました。
- プラトーの状態が当たり前
- 学びの遅さは情報の宝庫
- 自己を明け渡す
また、ここには書ききれませんでしたが、以下の内容も大変興味深く学びになりました。
- 達人に到達できない3つの典型的なタイプ
- くじけやすい決意に対処する方法
- 学びのエネルギーを呼び起こす方法
それでは今回はこのへんで。
デビっちんでした♪